性感染症

性感染症(STD)について

腕を組む男女性感染症は、性行為による皮膚や粘膜の接触で感染する病気の総称です。性感染症には、クラミジア感染症、淋菌感染症、性器ヘルペス、尖圭コンジローマ、トリコモナス感染症、梅毒、毛ジラミなどがあります。一時期はほとんど日本で見られなくなっていた梅毒が再び感染者数を増やしていますし、自覚症状に乏しいクラミジア感染症なども低年齢層に広がっている傾向があります。自覚症状に乏しいものが多いのですが、放置していると不妊の原因になるなど大きなダメージにつながるものも少なくありません。「おかしいな」と感じたり、不安を感じる行為をしてしまった際には、必ず受診して検査を受けてください。

おりもの(帯下)に変化があったら、必ず受診を

おりものは女性の性器から分泌されるものの総称で、子宮頚管の粘液、皮脂腺や汗腺からの分泌物、膣壁の古い細胞などで構成されています。性感染症は、おりものの微妙な変化という症状を現すことがよくあります。量や色、においなどに変化があったら、必ず受診してください。

母子感染とピンポン感染

母子(垂直)感染

赤ちゃんを抱く女性性感染症は、感染した母親の胎盤から胎児への感染、そして生まれてくる際に産道で感染する可能性があります。これは母子(垂直)感染と呼ばれています。母子感染した新生児は、重篤な症状を起こすこともあるため、こうした感染を予防するためには、妊娠したら積極的に性感染症の検査を受けることが不可欠です。感染がわかったら、治療や出産方法などについて相談しましょう。また、当院では、妊娠を望んでいる方にも性感染症検査をおすすめしています。

ピンポン感染

背を合わせる男女パートナーが性感染症にかかっている場合、ご自分も感染している可能性があります。逆に、ご本人が感染していれば、パートナーにうつしてしまっている可能性があるわけです。片方が治療を受けたとしても、もう片方が治療を受けていなければ、繰り返し感染することになります。ほとんどの性感染症は男女で症状の出方が異なるため、症状がなくても感染しているケースがとても多いのです。こうして繰り返し感染することはピンポン感染と呼ばれています。これを避けるために、必ずお2人で同時に検査と治療を受けてください。

主な性感染症

クラミジア感染症

10代~20代前半の女性を中心に、若年層に増加が著しい性感染症です。自覚症状がほとんどないため、気付かずに感染を広げてしまっていると考えられています。放置してクラミジアによる炎症が広がると不妊リスクが高くなってしまうため、早めにしっかり治療を受けることが重要です。クラミジアトラコマティスという細菌による感染症で、尿道や子宮頚管、喉に感染することもあります。

クラミジア感染症の症状とリスク

男女とも、自覚症状がほとんどありません。 ただしクラミジアによる炎症が起こると、炎症が起こった場所によって異なる症状が現れます。子宮頚管に炎症が起きた場合には水っぽいおりものや、少量の出血が現れます。尿道や膀胱に炎症が起こると、膀胱炎のように頻尿や排尿痛が現れることもあります。卵管に炎症が起こった場合には、卵管炎になって卵管閉塞を起こす可能性があり、卵管性不妊や子宮外妊娠のリスクが高くなってしまいます。

淋菌感染症

クラミジア感染症と同じくらい感染率の高い性感染症です。男性の感染者が多い傾向があります。感染力が高いことが特徴です。男性にはわかりやすい症状が出ることが多いのですが、女性が感染した場合には自覚症状がほとんどありません。ただし、放置していると不妊の原因になりますし、母子感染も起こるため、注意が必要です。

淋菌感染症で女性に起こる症状とリスク

ごくまれに粘り気のある膿のようなおりもの、膣出口の下が大きく腫れるなどの症状が現れることもありますが、ほとんどの場合、女性には症状が現れません。ただし、感染が子宮や卵管、そしてその周辺に広がって骨盤腹膜炎を起こすと発熱や強い下腹部痛が現れます。骨盤腹膜炎になると卵管不妊や子宮外妊娠のリスクが増大します。また、淋菌感染症に気付かずに出産した場合、産道で赤ちゃんが感染して淋菌による結膜炎を起こす可能性があります。

性器ヘルペス

単純ヘルペスウイルス1型や2型が性行為によって感染したものです。口唇に感染したヘルペスウイルスが、オーラルセックスで性器に感染するケースもあります。症状を現さないまま相手に感染させる力だけ持っている状態になる場合があり、注意が必要です。

性器ヘルペスの症状

女性は、性器ヘルペスに感染して最初に症状が現れる際に、強い症状を現しやすい傾向があります。症状が現れるまでには2~10日間の潜伏期間があり、突然、外陰部の痛みが生じます。水ぶくれや潰瘍が複数できて、痛みにより排尿や歩行が困難になるケースもあります。また、38℃以上の発熱や、足の付け根のリンパ節の腫れも起こります。頻度はあまり高くありませんが、強い頭痛、肩や首のコリ、尿や便を出しにくくなる神経麻痺などが現れる場合もあります。感染するとウイルスが潜伏して完全な排除はできず、何度も再発を繰り返しますが、再発の場合には最初の時のような激しい症状が現れることはほとんどありません。

性器ヘルペスの新生児感染

出産の際に性器ヘルペスのウイルスが排出されている状態の場合、新生児に感染して重篤なヘルペス感染症を起こす可能性があり、とても危険です。新生児ヘルペスは死亡する可能性もゼロではありません。そのため、リスクが高い場合には帝王切開での出産が必要になります。

尖圭コンジローマ

尖圭コンジローマはHPV(ヒトパピローマウイルス)の6型や11型に感染することで発症します。20代の女性を中心に感染が広がっており、オーラルセックスも含めた性行為によって感染します。潜伏期間が3週間~8ヶ月間もあって長く、治療後の再発率も高いことから、感染機会が特定しにくいため、感染が広がりやすい病気です。HPVには100種類以上の型がありますが、尖圭コンジローマを起こす6型や11型は皮膚にイボを作るタイプで、陰茎がんや子宮頸がんの原因となることがないローリスクに分類されています。ただし、女性が尖圭コンジローマなった場合、子宮頸がんの原因となるハイリスクタイプのHPVに同時感染している可能性も考えられるため注意が必要です。同時感染は珍しいことではないため、検査でハイリスクタイプの感染がわかったら子宮頸がん検診を定期的に受ける必要があります。

尖圭コンジローマの症状

外陰部や肛門周囲に鶏のトサカのようなイボができます。痛みや痒みをともなうことはほとんどありません。そのため、イボに気付かずに感染を広げてしまうことが多くなっています。

尖圭コンジローマと出産

出産時に膣内や外陰部に尖圭コンジローマのイボがあると、赤ちゃんにHPVが感染してイボができることがあります。喉の奥にできる場合もあります。

トリコモナス感染症

トリコモナス原虫によって起こされる感染症で、膣トリコモナス、腸トリコモナス、口腔トリコモナスなどがあります。性感染症のトリコモナスは、トリコモナスが膣に感染して炎症を起こした膣トリコモナス症を指します。膣トリコモナスという名称ですが、膣の内部、子宮頸管や尿道、また男性の尿路や前立腺などに原虫が感染し、カップルが互いに何度もうつし合うピンポン感染を起こしやすいという特徴を持っています。 簡単に性交渉で感染しますが、まれに下着やタオル、浴槽などからの感染も起こりうるとされており、性交経験のない女性が感染するケースもあります。

梅毒

スピロヘータの一種である梅毒トレポネーマという細菌の感染によって生じる性感染症です。性行為の際に、皮膚や粘膜の小さな傷から侵入して感染し、血液の流れで全身に運ばれて皮膚や内臓、脳などにさまざまな症状を現します。日本では近年、感染者数が増加傾向にあります。

梅毒の症状

梅毒は感染からの期間によって第Ⅰから第Ⅳ期までに分けられており、それぞれ症状が異なります。感染すると3~6週間後にⅠ期梅毒の症状である感染局所の初期硬結や硬性下疳、無痛性の鼠径などが現れます。感染3ヶ月後にはⅡ期梅毒となり、皮膚や粘膜に梅毒性バラ疹や丘疹性梅毒疹、扁平コンジローマなど梅毒特有の発疹が現れます。この段階までにしっかり治療を受けることが重要です。感染後3年以上で晩期顕症梅毒となり、ゴム腫や心血管症状、神経症状、眼症状などが現れはじめ、最後には脳に障害が及んで死亡に至ります。

毛ジラミ

毛ジラミは、吸血性昆虫であるケジラミの寄生によって発症します。主に陰毛の毛根に寄生し、体長は1mm前後ですが、激しい痒みで気付くケースが多くなっています。ほとんどは陰毛同士が直接触れることで感染しますが、ケジラミは人間の身体から離れても48時間程度は生存できるため、まれに寝具やタオルなどを介して感染することもあるとされています。

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